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目次(この記事の内容)
昨今では、建築物の安全や品質について、世間の関心が高まっています。責任ある仕事と、高い基準をクリアして人々が安心できる建築物が求められるようになりました。
建築設備士は、建築物の設計や工事管理において、各設備の専門知識や技術・経験を必要とされる国家資格です。建築設備士とは、どんな資格なのでしょうか?仕事内容や資格の種類について、詳しくご紹介します。
建築設備とは、建築における給排水などの衛生設備の配管、電気設備や空調設備などを担当する国家資格で、専門分野での知識と技術を必要とします。
建築設備士は、建築士の指示・アドバイスに従い、給排水などの衛生設備や電気、空調といった専門分野の設計・計画を担当します。建築物そのものは設計しません。着工後の現場では、工事の管理や指導をします。
建築設備士が助言をした現場は、その旨を建築確認書類や工事完了の届出において、記載しなければなりません。
建築士法では、建築士事務所が建築物の設計や工事管理の仕事を請け負う場合、契約時に交付すべき書面に、業務従事者となる「建築設備士」の氏名を記載するよう義務付けられています。
建築設備士の資格を持った者がいなくても、建築の設計や工事はできます。建築設備士を置くことそのものが義務なのではなく、建築物が建築設備士から助言を得た場合に、公的な書類に明記することが義務付けられているのです。そのため建築物の設計や工事現場で、建築設備士が不要とされる場合もあります。しかし建築物の安全性や品質について、専門的な立場からより良い助言を得られるというのは、依頼者から見て安心と信頼の根拠です。建築設備士資格の保有者がいることは、建築設備に対する専門知識や技術の客観的な証明です。社会的にも、建築物や企業が認められることになります。
昨今では、建築物の安全に対する意識が高くなり、基準も厳しくなっています。建築設備士の有資格者は、建築業界において、今後もニーズの続く職業です。
建築設備士の活躍の場は、建築会社や設計事務所、不動産会社の他、建築設備メーカーやビルの管理会社などがあります。
建築設備士の平均年収は、約500〜700万円と言われています。これは企業間で条件が異なります。大手企業やメーカーに勤務する場合は比較的年収が高く、中小企業や下請けを中心とする企業の場合、前者よりも年収が低くなる傾向が一般的です。建築設備士以外にも建築関係の資格を持っている場合や、役職がある場合など、さまざまな状況によって実際の収入は異なります。
建築設備士の有資格者がいる企業は、建築物の品質が高いことを社会的に評価されるため、資格を持っていると、就職や転職に有利です。給与水準のアップや資格手当の受給も期待できます。
建築設備士の資格を取得後、1年以上の実務経験を積むと、一般建設業の許可基準において、専任技術者と主任技術者になれます。さらに、資格取得後の実務経験が4年以上になると、一級建築士の受験資格を得ることができます。
建築業界で資格を複数持ち、年収を上げていくステップアップの入口として、建築設備士は最適な資格といえるでしょう。
建築設備士試験は「公益財団法人 建築技術教育普及センター」が実施する国家試験です。受験資格は厳しく定められています。建築物全般に対する知識や技術が必要です。専門的な立場から建築士に建築設備設計や工事の助言をおこない、建築物の安全と品質を向上する責務のためです。
建築設備士試験には、以下の受験資格が設けられています。
大学、高等学校、高等専門学校などで「建築」「機械」「電気」またはこれらと同等と認められた類似過程を修了して卒業後、以下の年数の実務経験を積めば受験資格が得られます。
・四年制大学卒業後 2年以上の実務経験
・短期大学、高等専門学校、旧専門学校を卒業後 4年以上の実務経験
・高等学校、旧中等学校を卒業後 6年以上の実務経験
学歴でなく、建築設備士に関連する他の資格を保有して実務経験を積んだ場合も、受験資格を得ることができます。
・一級建築士、一級電気工事施工管理技士、一級管工事施工管理技士、電気設備主任者(国家試験) 2年以上の実務経験
・電気主任技術者(第1種〜第3種)
・空気調和・衛生工学会設備士(民間資格)2年以上の実務経験
建築設備に関する他の国家資格や民間資格をすでに保有している場合、建築設備士の受験資格を得るための実務経験が短縮され、受験に有利になります。
実務経験について
・設計事務所や建設会社、設備工事・維持管理会社などで、建築設備の設計・工事監理(補助含む)、施工管理、積算、維持管理業務
・官公庁での建築設備の行政、営繕業務
・大学、工業高校などにおける建築設備の教育や研究
・大学院、研究所などにおける建築設備の研究
・設備機器製造会社などにおける、建築設備システムの設計業務
・建築設備に関する直接業務を含まない、建築物の設計・工事監理や施工管理など
・単なる作業員として、建築設備に関する業務に従事した場合
(例)設計図書のトレース、計器の監視・記録、機器の運転、工事現場での単純労働など
建築設備士試験の一次試験はマークシート方式です。区分が3つあり、建築一般知識(30問)・建築法規(20問)・建築設備(50問)に分かれています。
給排水衛生設備や電気、空調などの専門分野だけでなく、建築計画や構造力学といった一般的な建築知識が出題されます。建築と建築物全般についての学習が必要です。
建築一般知識の区分では、環境工学・建築計画・構造力学・施工計画などが出題されます。建築法規の区分は問題数が少なく、設定時間は建築一般知識と同じです。これらの区分では、一級建築士試験に出題されるような、専門的な建築の知識までは要求されません。二級建築士の過去問で対策をするのがオススメです。
建築設備の区分では、一級建築士試験より高度な専門知識を問われます。建築設備士の過去問だけでは出題数が少ないため、これに加えて、一級管工事施工管理技士や一級電気工事施工管理技士など、専門的な過去問も幅広く学習するのがオススメです。
一次試験では、建築の法令集の持ち込みが可能です。「建築設備関係法令集」は、建築設備に関する記載が多いため、建築設備士の試験に役立ちます。
二次試験は製図試験です。一次試験合格者のみ受験できます。区分は2つあり、「建築設備基本計画」と「建築設備基本設計」です。机上の知識だけでなく、実際の建築現場での経験がものをいう試験といえます。
二次試験の記述式問題では、丁寧な文字の記述と、誤字・脱字に注意が必要です。採点者にわかりやすく伝える工夫も大切です。
記述式問題では、建築物の条件が与えられ、建築設備を計画する上で気をつけた内容を検討し、文章で説明します。
製図問題では、設備プロット図を作成したり、系統図を作図したりします。例えば電気設備の場合、高圧単線結線図を作図するなどです。
製図課題は、「スポーツクラブのある複合商業施設」でした。
複合用途防火対象物で、フロア構成は、地階は設備室、1・2階は飲食店と物販店舗、3・4階はスポーツクラブ関係諸室です。
1.建築設備基本計画(記述式・全10問の必須問題)
2.建築設備基本設計製図(製図・選択問題と共通問題)
選択問題は、「空調・換気設備」「給排水衛生設備」「電気設備」の3種類から、自分の分野を選択します。各3題の出題です。共通問題は1問のみです。
空調・換気設備
第1問 配管系統図
第2問 空調機の能力表計算、騒音値計算
第3問 ダクト図
給排水衛生設備
第1問 機器表
第2問 配管系統図
第3問 配管図、フロー図
電気設備
第1問 機器表、テレビ端子の出力電圧、ケーブルのこう長計算
第2問 単線結線図
第3問 照明器具台数の計算・照明などの配置図
第4問(3分野の共通問題) 地階設備室の配置計画図・空調、衛生、電気計画図
試験の携行と対策
・設備プロット図の作成
設備プロット図や系統図の作成は、例えば「電気設備」分野選択の場合、高圧単線結線図を書きます。
・系統図作成
製図の課題建築物の傾向は、ろ過設備のあるプールや浴場、大規模な空調設備のある複合施設などです。出題に細かい付記がある場合、もれなく条件にあてはまるよう、問題文を正確に読んで、実務経験もふまえた適切な解答が求められます。
・設備諸室の計画
製図試験では、課題建築物の構成や平面図で配置が示され、そこに設備諸室や通路などを計画して記載していきます。
設備諸室は、機械類がおさまり、建物に対しても適切な大きさに計画することが必要です。道路は搬入路を確保します。電気室と発電機室は近接に配置し、水回りや配管との関係を確認して無駄のない計画が不可欠です。空調機械室は効率と設備機器のおさまりを考慮し、ダクトなどの配置を適切に計画する必要があります。
建築設備士試験の一次試験は、独学でテキストや過去問を繰り返すことで合格を狙えるでしょう。二次試験は文章記述と製図があり、独学ではカバーしづらい部分もあります。試験対策講座や講習会などに参加して、効率的かつ実践的な学習をするのもひとつの方法です。
電気設備学会や空気調和・衛生工学会では、建築設備士試験の二次試験対策の特別講習を開催しています。(受講料:25,000円程度)
受験料
35,640円(税込) ※2019年の場合
合計基準点60%以上が必要で、そのうち、建築一般知識は40%以上、建築法規は50%以上、建築設備は50%以上です。全体の合計基準60%以上をクリアしても、3区分それぞれの点数が基準値を大幅に下回った場合は、不合格になります。
合格率は一次試験で約30%、二次試験になると約50%です。これらを合わせた最終的な合格率は約15〜20%です。受験者の5〜6人に1人の合格率という、難易度の高い国家試験と言えます。
以前は、建築設備士の資格は有効期間が5年間で、取得後5年ごとに「建築設備士更新講習」が義務付けられていました。現在は、資格の有効期間が無制限となり、定期的な更新の講習も廃止されています。
受講義務のある講習は廃止されましたが、建築設備士として、建築物の品質向上のために必要な専門知識と技術を維持し、向上するよう継続的な努力が求められます。
建築技術教育普及センターでは、資格保有者が自主的に建築設備技術に関する講習などを活用し、新たな技術と知識を習得するよう推奨しています。講習の実施団体は、一般社団法人建築設備技術者協会など、建築設備関連の職能団体です。
以前は5年ごとの更新講習を修了しなかった場合、資格が失効していましたが、現在は有効期間無期限の資格となったため、ペナルティなどはありません。
建築設備士の資格を取得すると、安全や高品質が求められるスケールの大きな建築物に、専門的な立場から携わることができます。社会的にも意義があり、やりがいを感じられる仕事です。企業や業界における有資格者のニーズも続くでしょう。
また建築設備士の資格をスタートに、各技術の主任者や、他の建築関連の資格にステップアップしていくこともできます。建築業界で安定して働き続けるには、昇給や昇格も視野に入れて、建築設備士の資格取得をオススメします。
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