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【座学編】仕事でドローンを使うなら知っておきたいこと。i-Construction対応ドローンスクール体験記

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サッカー日本代表の本田圭佑選手が

ドローンの会社に投資

したり、超高級車メーカーのアストンマーティンがドローンの

コンセプトモデルを発表

したり、何かと注目が集まるドローン。「BRANU MAG」でも以前、ドローンの記事を公開しました。

その際にお世話になった、国土交通省認定のビジネス向けドローンスクール「D-ACADEMY(ディー・アカデミー)関東本部」の依田健一代表の計らいで、今度は4日間に渡る「i-Construction対応ドローンスクール」を体験することができました。

2回シリーズで座学と実技に分け、建設業界を中心に、ビジネスでドローンを活用したい、自社でできるのか知りたい、という方に向けて、「仕事でドローンを使う場合、知っておきたい知識やリスク」を中心に解説します。

D_ACADEMY

取材協力:D-ACADEMY(

https://d-academy.co.jp/

座学で「法律」や「事故事例」や「技術」を学ぶ


「ドローンの学校で座学なんて必要あるの?」と思う方も多いでしょう。私も「2日ももつのかな」と思っていましたが、これがかなり有意義でした。個人的には実技より受けて良かった感が強かったです。

というのも私、趣味的な意味でのドローンにはまったく興味がなくて、AIに学習させるデータ取得とか空撮に良さそうという関心だったので、楽しく飛ばすというよりは、活用法とか法律の実際的な運用とか、リスクなどが知りたかったんです。その点、「D-ACADEMY」はビジネスでのドローン活用のためのスクールで、「ドローンを安全に飛ばす」ことを目的としていて、教えてくれる依田代表は仕事として機体の開発からイベント飛行、測量や設備点検まで経験されているので、実践的な内容が盛り沢山で参考になりました。

2日間の座学のカリキュラムはこんな感じです。

1)UAS(ドローン)概論

=定義や歴史、活用事例、課題

2)法規制・ルール

=航空法、道交法、個人情報保護法など関連法規

3)気象

=天気のメカニズム、気象予測データなど

4)技術

=飛行原理、構造、GPS、バッテリー、通信など

5)運用

=安全対策、操縦時の注意など

6)安全運航管理者コース

=リスクアセスメント、リスク低減法など

7)申請書類

=国交省への申請書や報告書の書き方など

8)i-Construction

=概念や空撮測量での使用ソフトや進め方など

9)シミュレーター操縦

かなり堅そうに見えますが、なにせ「ドローンをビジネスで安全に飛ばすには、本物の航空機を飛ばすのと同じ知識とスキルが必要」(依田代表)だそうなので。

ビジネスで使えるドローンは「DJI」製


そもそもドローンとは、「無人で探査、調査するもの」のことで、別にヘリコプター型でなくても、飛行機、車、船、車でもそう呼ぶそうです。実際、ドローンのビジネスショーで潜水艦タイプのドローンを見たことがあります。

UAV(Unmanned Aerial Vehicle=無人飛行機)、UAS(Unmanned Aircraft System=無人航空システム)という呼び方もされるそうです。「パイロット系の人がよく使う用語です」(依田代表)。ちなみにラジコン系の人は、マルチコプター(ローター=回転翼が複数あるヘリ)という用語を使うことが多いとか。

ビジネスで使うドローンのメーカーは中国のDJI社製がかなりのシェアを占めているそうです。アメリカが進んでいそうなイメージがありましたが、DJIは軍事技術を使って商品化しているとの噂で、かなり高機能・高性能・低価格なのだとか。サイトを見ても、一般向け(といっても凄いらしい)、プロ向け、産業用で様々な機体、搭載ツール、飛行用ソフトウェアなどが並んでいます。

DJIオフィシャルサイト

産業用ドローン|DJIオフィシャルサイト(

https://dji.com/jp

飛行系ラジコン歴40年以上、休憩時間にもドローンを飛ばす依田代表。神田(現在は横浜)の教室にもたくさんの種類のドローンが置かれていて、いくつか試すことができました。下の写真は、DJIが提携してつくったという小型ドローン「Tello」12,800円。手のひらサイズなのにカメラ付きで、宙返りはするわ、プログラミング自動飛行で複雑な動きもできるわ、カメラの映像を見ながら操縦できるわ、凄い性能でした。

Tello

▲「Tello」はトイドローンというジャンルながら、性能はかなりのもの。80グラムと航空法の規制にもかからないので、エントリーにぴったり


(※飛行禁止エリアなどはあります)

大きく広がるドローン活用


たぶん読者の方が一番興味があるであろう、ドローン活用方法。2015年に首相官邸に放射性物質を積んだドローンが侵入する事件があり、すぐにその年末には航空法が改正されてドローンの関連の法整備が行われたため、ルールが決まって逆にビジネスでは活用しやすくなりました。

インプレス総合研究所の調査では、日本のドローンビジネス市場は2017年度では503億円ですが、2020年度には3倍以上の1753億円、2024年度には7倍以上の3711億円に拡大すると予測されています。具体的にどんな分野で使われるかというのが下のグラフです。

ドローンビジネス調査報告書2018

引用:impress|ドローンビジネス調査報告書2018


https://impress.co.jp/newsrelease/2018/03/20180315-01.html


依田代表は経験豊富なので、かなり幅広い事例を教えていただくことができました。ごく一部ですが、各分野の活用法をご紹介します。


■農業
【主な用途】農薬散布、作物の生育状況解析、野生動物対策など


最初の民間利用のドローンは農薬散布(日本が元祖)で、今でも最大の活用分野です。レーダー解析で地形を読み、段差がある農地でも作物から一定の距離を保って散布できる機種もあります。「スマート農業」や「精密農業」への活用も盛んで、ドローンに搭載したカメラやセンサーのデータを解析して土壌や作物の状態を解析するなどに使われています。


■測量・調査
【主な用途】三次元設計用測量、環境調査、大気内放射能測定など


測量や調査は、小型軽量で赤外線カメラを使えば暗闇でも飛ばせるドローンに適しています。ドローンを使って測量することで、丁張りなどの作業が不要になり、今まで3人で2日ぐらいかかっていた測量が、1人で数十分でできる場合もあるそうです。


■空撮
【主な用途】報道、テレビ番組、施設撮影など


いちばん馴染みのある分野ですね。テレビや映画などでは気軽に使われています。上で紹介した12,800円のドローンでさえ手ぶれ補正&500万画素なので、今どきの高性能スマホには負けますが、飛びながら撮っているにしては美しい動画と写真が撮れます。

撮影だけでなく、照明をドローンで行う方法もあるとか。依田代表が開発に関わっている「ドローンライティング」は、超高輝度LEDをドローンに搭載し、屋外撮影でもスタジオのような照明を当てることができ、今まで見たことがないような幻想的な写真が撮れます。

ドローンライティング

ドローンライティング|SYNERGY TECH(

https://synergytec.co.jp


■検査
【主な用途】建物検査、インフラ点検、飛行機や鉄道等点検など


大から小まで様々なものをドローン撮影によって検査できます。通常のカメラや赤外線カメラで、ひび割れやタイルの浮きなどを検査できます。目視よりはるかに簡単です。「精度の高いカメラを積めば、0.1mmのヒビまで判別できますし、ドローンを使うことで点検のために足場を組むなどの工程が不要になり、危険な作業も減らせます」(依田代表)


■防犯
【主な用途】施設警備、イベント警備、個人宅警備など


以前、東京マラソンやG7伊勢志摩サミットでのドローン警備が話題になりましたが、会社や個人宅の警備にもドローンが活用されています。セコムでは、2015年から民間防犯用として世界初の自律型飛行監視ロボット「セコムドローン」を提供しています。


■物流
【主な用途】ドローン宅配、施設内配送、ドローンタクシーなど


日本では千葉などで実証実験が始まっているドローン宅配。Amazon Prime Airが有名ですが、「世界では各国で既に商用化が始まっています。たとえば中国では実際に荷物を運んでいますし、スイスでは医療機関に血液や器具を運ぶドローン配送が始まっています」(依田代表)。離島や山間部などでの活用も期待されています。


■屋内
【主な用途】屋内施設点検、オフィス巡回など


これまでドローンはGPS環境が良くない屋内では飛ばすのが難しかったのですが、画像技術・超音波などを使うことで、自動飛行ができる機体もあります。工場、建設途中のビル、オフィスなど活用範囲は広く、暗視カメラや赤外線カメラなどと組み合わせれば、夜間でも点検や巡回が可能です。

■その他

  • 災害対策


依田代表が現在開発に最も力を入れているのが、赤外線カメラ・超高感度ズームカメラの2in1一体型カメラ(特許取得)だそうです。これを使えば夜間でも体温を感知して超高感度カメラで夜間でも遭難者を確認でき、その位置の緯度・経度情報が拾得できるため、迅速な被災者の捜索が可能になります。他にも物資運搬やWi-fi中継基地など、災害時には様々なドローンの活用が期待されています。


  • エンターテインメント


「先日、私も実際に操縦で参加しましたが、イベントでLEDライトを積んだ複数のドローンが群集制御で幻想的な光が動くような演出も増えてきました」(依田代表)。ドローンレースも人気です。

法律は、航空法、道路交通法、産廃法などが関係


仕事で使う場合、法律関係も気になるポイントでしょう。意外と多くの法律が関わってくるそうです。いちばん重要なのは、2015年12月に改訂された【航空法】。重量が200g以上のドローンは航空法によって規制されるようになりました。

飛行禁止区域

飛行の方法

引用:国土交通省|改正航空法概要ポスター(

http://mlit.go.jp/common/001110369.pdf


空港周辺や、150m以上の上空、人家の密集地域などは飛行禁止だし、人や建物などから30m離して飛ばしましょう、という内容です。よく誤解されやすいのですが、「×マーク」はダメと言う意味ではなく、国土交通省の許可や承認があれば飛行可能です。このスクールでは、その許可や承認用申請書の書き方も詳しく教えもらえ、生徒さんは全国1年間の包括許可・承認を取得できるということです。また、官公庁用語はちょっと癖があるので、これは初心者にとって大変助かります。

ちなみに「人家の密集地域」とは、1キロ四方に4000人以上住んでいるところが基準で、スマホアプリでわかるそうです。依田代表はiPhoneの「ドローンフライトナビ」を使っているとか。

ドローンフライトナビ

ドローンフライトナビ - 飛行制限確認地図|

App Store


Android(アンドロイド)だと、「

ドローン飛行チェック

」が有名なようです。

航空法違反は50万円以下の罰金で、前科も付きます。実際に逮捕者も出ているそうなので、「まぁいいだろ」は危険です。

他にも、いろいろあります。

・【道路交通法】道路を使用して離発着する場合などは警察の許可が必要


・【民法】土地の所有権は空中にも及ぶので私有地での飛行には所有者の許可が必要(改正される可能性有り)


・【個人情報保護法】人の顔、表札、車のナンバープレート、家の外観、洗濯物なども守るべきプライバシーの対象に。空撮したらぼかしを入れるなどの配慮が必要


・【産廃法】墜落して場所がわからなくなったドローンを放っておいたら不法投棄に。罰金は個人100万円、法人1000万円になることも

など、守るべき法律は多岐に渡るそうです。

依田代表

▲講義中の依田代表。第一回国土交通省主催ドローンによる空撮測量技術を競う「EE東北全国UAV競技会」全校優勝「チームYODA」のリーダーだけに、実務を詳しく教えてもらえます

安全管理の鉄則!「機械は壊れます」


依田代表は依頼を受けてドローンの事故調査なども経験しているとか。飛行中にGPSが切れて人にあたってしまったりといった事故は残念ながら時折起こるそうです。

そんな中で依田代表が安全運航の鉄則としていることがあります。

<鉄則1>原則は無人地帯で飛ばす<鉄則2>人がいる場合、原則近づかない、十分な注意喚起を促す<鉄則3>機械は必ず壊れるので、毎回気を抜かず、安全を最優先にする

特に「機械は必ず壊れる」というのが重要だとか。「最近のドローンは重要な部品は複数配置するなどでfail・safe、つまりトラブルが起きても安全に飛行継続できる設計になってきましたが、GPSが切れる、突然プロペラが止まるなど、いくらメンテナンスしても故障はゼロにはできません」(依田代表)。特に自動航行時にGPSが切れた場合、いつでも手動操縦に切り替える心の準備をしていないと、大事故に繋がる可能性もあります。

i-Constructionで設計・工事を効率化


国土交通省が進める「i-Construction」についての授業もありました。3D図面での設計・工事を進めるために、上空から撮影した写真を3次元化するドローン測量が推奨されています。

「あれは大手企業だからできること、ウチは中小だから無縁という方が多いのですが、個人事業に近い会社でも「i-Construction」の良いところだけを部分導入している事例はたくさんあります。たとえば見積りでザックリ平米数が知りたいとか、土量を調べたいなどからスタートするのも良いでしょう。中小建設会社の集まり『やんちゃな土木ネットワーク(YDN)』では、ドローン測量を含むi-Construction施工を一般的工事で採用したら、作業日数を6分の1に短縮、粗利を倍以上に上げたという例もあります」(依田代表)

測量作業が短縮できるだけでなく、丁張が不要、重機オペレーターの技量不要、出来形もドローンにてヒートマップを作製して簡略化できます。

i-Construction施工

▲i-Construction施工にして工期と利益をアップさせた一例。ドローン測量も大きな位置を占めます

シミュレーターで操縦感覚をつかむ


フライトシミュレーターによる操縦訓練もありました。大画面で実際のプロポ(コントローラー)を使って飛ばします。「ドローンを操縦しているときは、ずっと微妙に舵を切り続けていなければいけないので、その感覚をつかむためには役立ちます」(依田代表)。風向きも変わるし、風の強さも変わって難しかったですが、これで実際に飛ばす前に大まかなコツが拾得でき、実技講習での本物を使った屋外飛行時に役立ちました。まぁ、実物での訓練はもっと難しかったですが。

工期と利益をアップ

▲ドローン専用フライトシミュレーター「REAL FLIGHT DRONE ver.」(実勢価格・3万円程度)


画像はD-ACADEMY専用フライトフィールドにフィールド変更

【取材協力】D-アカデミー株式会社 Dアカデミー関東本部

http://d-academy.co.jp/

【実技編】へ続く)

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