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建設専門のベンチャーキャピタルが誕生! 社内ベンチャーの立ち上げ・資金調達がここまで手軽になりました

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人材不足や働き方改革への対応など、様々な課題を持ち越したまま新しい時代を迎えた建設業界。国の基幹産業ともいえる業界だけに、国も多角的な支援策を打ち出しているところです。そんな中、民間の建設会社が建設専門のベンチャーキャピタルファンドを開設したというニュースが飛び込み、話題を集めています。これまで民間の建設会社では見られなかったこの動き。旧態からの脱却を模索している中小の建設会社にとって、大きなヒントを与えてくれます。今回は、ベンチャーキャピタルの特徴や、中小の建設会社がどのように活用できるのか、事例を交えながら探ってみます。

日本で建設テックへの取り組みが遅れている理由

現在、アメリカの建設業界では、設計や資材調達に限らず現場におけるタフな業務にも、最新のIT技術やAIロボットが率先して導入されており、労働環境の改善や利益率の向上に大きく貢献しています。このようにアメリカの建設業界で活用されている先端テクノロジーは、通称「Con-Tech」(建設テック)と呼ばれ、今、アメリカではCon-Tech開発会社への投資が賑わいを見せているのです。2018年には31億ドル(約372億円)もの膨大な資金がさまざまな開発会社に投下されたと言われます。

いっぽう日本の建設業界に目を向けるとどうでしょうか。残念ながら現在の日本の建設業界では、このような建設テックの開発や導入が海外と比べ、まだまだ発展途上の段階です。その背景には、開発や導入試験などに足る十分な資金調達が困難なこと、また建設のプロセスは専門かつ多角的な知識や視野が求められるため、それらを理解する開発技術者が少ないことに加え、これまでニーズが顕在化しなかったことが挙げられます。

そこで近年では、建設テックの開発を促進させるベンチャーキャピタルファンドの動きに注目が集まっています。ベンチャーキャピタルファンドを活用し、優れた建設テックが広く普及することで、建設業界が抱える課題の解決に役立つのではと期待されています。

建設テックへの取り組み

建設テックを後押しするベンチャーキャピタルとは

そもそもベンチャーキャピタルとは、創業時のベンチャー企業や、企業の新規事業などに開発資金を投資し、成長支援を行う投資ファンド会社のことです。融資とは異なるため、投資した出資金が返済されるのではなく、投資先のベンチャー企業からの配当金や上場時の株価上昇などによって投資金を回収し、利益を得る仕組みになっています。そのため、ベンチャーキャピタルにとって、投資先のベンチャー企業の成長は非常に重要です。投資先が成長しなければ回収不可能となるため、ベンチャーキャピタルは投資先の企業をあらゆる方面から支援する役割も担うことになります。

ベンチャーキャピタルには、その特徴から「独立系ベンチャーキャピタル」「コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)」「政府系ベンチャーキャピタル」「金融系ベンチャーキャピタル」「大学系ベンチャーキャピタル」の5つに大きく分類されます。この中でもCVCは、投資先に技術やノウハウ、コンサルティングなどを提供し、投資先企業の成長支援を行います。また、出資元が自社の事業へのシナジー効果を期待するため、建設テックを開発しようとする企業にとって、このCVCの活用が有効と考えられます。

民間の建設会社がベンチャーキャピタルファンドを開設

2019年2月、山口県岩国市に地元本社を置く総合建設業の株式会社カシワバラ・コーポレーションが、建設専門のベンチャーキャピタルファンド「JAPAN CON-TECH FUND」を開設しました。当初の投資額は50億円の予定で、建設業界でITやAIの活用、ドローンやロボットによる業務の自動化など、建設テックを促進させて生産性の向上を図ることを目的としています。

建設テックファンド JAPAN CON TECH FUND-2JAPAN CON-TECH FUND|https://fund.contech.jp/

また、カシワバラ・コーポレーションは、建設テックにかかわる開発資金の投資だけでなく、70年にわたる建設業で培った技術やノウハウ、また開発商品が試用できる現場の提供といった支援も行うそうです。これまで民間の建設会社がこのようなファンドを開設した例はなく、建設に特化したCVCとしてのタイアップ効果が大いに期待されます。

実例で見るベンチャーキャピタルの活用例

ここまで読んで、「自分には関係ない」と思われた方も多いでしょう。そこで、建設業界でベンチャーキャピタルを活用した事例をいくつか紹介します。このようなサービスや商品を開発すれば、資金調達が容易になります。

● 職人と建設現場をつなぐ携帯アプリ『助太刀』

助太刀 建設現場と職人をつなぐアプリ助太刀|https://suke-dachi.jp/
建設現場の人手不足を肌で実感してきた体験をもとにしたアプリを開発。20代~40代のフリーの職人をメインターゲットにしたところ、利用者が急増。2019年4月現在、6万人の登録者を超える大ヒットアプリとなっている。工事代金を即日決済できるシステムも導入され、機能はさらに充実。

 社 名  株式会社 助太刀
 CEO  我妻 陽一
 CEOの経歴  大学院修了後に大手電気工事会社に就職。現場監督として勤め独立。10年間の電気工事会社を経営を経て、2017年3月に(株)助太刀を設立。
 開発したサービス  職人と建設現場をマッチングするアプリ「助太刀」を開発
 出資元  伊藤忠テクノロジーベンチャーズなど7社+個人投資家
 調達額  約5億3,000万円

一人親方などの職人と、人材を求める現場をマッチングする携帯アプリ「助太刀」を開発した株式会社助太刀のCEOは、建設現場の課題を熟知した元電気工事会社の経営者です。現在「助太刀」に登録している職人は6万人を超え、多くの建設職人に利用されています。

前身の東京ロケットから「助太刀」に社名変更した2018年に、伊藤忠テクノロジーベンチャーズや日本放送など7社と個人投資家から約5億3,000万円を資金調達。2019年には電動工具のHiKOKIとして建設業界では有名な工機ホールディングス(株)(旧日立工機)とJA三井リースから各1億円を資金調達し、さらなるサービス開発に乗り出しています。

● クラウド型の施工管理アプリ「ANDPAD」

施工管理アプリ|ANDPAD(アンドパッド)ANDPAD|https://andpad.jp/
スマホやタブレットを利用して、施工管理に必要な工事写真、工程表や図面の閲覧を関係者で共有することができる。チャット機能を使えばリアルタイムにコミュニケーションがとれるので、職人と監督による情報共有が常にできる。Googleマップと現場情報が連携されており、職人から好評を得ている。見積作成や受発注機能もオプションサービスとして提供。

 社 名  株式会社 オクト
 CEO  稲田 武夫
 CEOの経歴  大学卒業後にリクルートに入社。在職中に起業し、住宅リフォームの検索サイトを開設。サイト運営を通して建築のいろはを学び、サービスを開発。
 開発したサービス  建築施工管理が現場から社内業務まで一元で行える、クラウド型の建設プロジェクト管理サービス
 出資元  D・N Ventures、BEENEXT、米国セールスフォース・ドットコム、個人投資家など
 調達額  約4億円

建築工事に欠かせない工程管理をはじめとする、施工管理の携帯アプリを開発した株式会社オクト。リフォーム会社選びのためのBtoC向けポータルサイト運営からスタートし、顧客のニーズに応える形で工程管理ができるサービスを開発。のちに機能を拡張し、建設現場に対応する施工管理システムのアプリ開発に至っています。

2018年8月の時点で1,300以上の建設関連企業が「ANDPAD」を導入し、現場管理アプリでは国内ナンバーワンのシェアを誇ります。

資金調達額も高く、創業期にDNX Ventures、BEENEXT、米国セールスフォース・ドットコムなど複数のベンチャーキャピタルや個人投資家から約4億円の投資、さらに今年3月25日には(株)グロービス・キャピタル・パートナーズやDNX Venturesをはじめとする既存投資家から新たに約20億円もの資金を調達しています。

● 図面や工事写真を一元管理するアプリ『フォトラクション』

Photoruction(フォトラクション)Photoruction|https://www.photoruction.com/
これまでアナログ中心だった工事写真や図面をスマホやタブレットを使い一元管理できるサービス。撮影者、場所、日時、工事内容などの項目別にフィルタリングすることが可能。撮影場所にポイントを落とすと図面と連動され「通り芯」を表示する画期的なシステムが職人に大好評。工事完成図書の電子納品がボタンひとつで作成可能。

 社 名  株式会社 フォトラクション
 CEO  中島 貴春
 CEOの経歴  大学院修了後に竹中工務店に入社。大規模建築の現場監督を経たのち建設現場のBIM推進に従事。2016年3月CONCORE’S(現フォトラクション)を設立し、代表取締役に就任する。
 開発したサービス  工事写真の管理・共有ができる一元管理アプリ。写真と図面が連動されている。
 出資元  ジェネシア・ベンチャーズ、SMBCベンチャーキャピタルなど
 調達額  1億円

株式会社フォトラクションは、施工管理で必須となる工事写真の撮影や図面の共有をはじめ、撮影した場所から柱や壁の「通り芯」を解析するクラウド型AIエンジンを開発。その他にも公共工事の「工事完成図書」がボタンひとつで作成できるアプリも提供しています。ITが苦手な職人や現場監督でもスムーズに利用できるよう、随所に工夫が凝らされています。

これも現在のCEOが建設出身者であり、また各取締役も建設に関係があったからこそ立ち上げることのできたサービスといえるでしょう。

2019年3月には「ジェネシア・ベンチャーズ」「SMBCベンチャーキャピタル」「みずほキャピタル」から1億円の資金調達をして、さらなる機能の拡張を目指しています。

ベンチャーキャピタルから資金調達する方法

「その3社は特別な技術や能力があるから成功した事例に違いない」。そう思われる方が大半を占めるかも知れません。確かにITやAIなどといった技術は、建設に従事した方にとって縁遠いものです。しかし、建設業界が抱える課題の奥深さは建設に深くかかわった者にしか分からないものです。日本で建設テックの開発や導入が立ち遅れているのは、ITやAI技術が他の国よりも劣っているからではなく、建設会社の積極的な参入意識が希薄だったことに尽きます。とは言うものの、未知の領域に足を踏み入れることに躊躇するのは当然です。

そこで、ここから本題ですが、先端テクノロジーに疎いと自負している建設会社が、ベンチャーキャピタルから資金調達するまでのプロセスを大雑把に次のように敷いてみます。

ベンチャーキャピタルから資金調達する方法

①課題の抽出

建設業界や自社の業種が抱える課題を数多く抽出します。日頃感じている切実な課題のほうが解決意欲も高くなりますし、説得力もあります。

②解決方法のアイデア出し

「こんなものがあればきっと解決できる」というシステムや道具などのアイデアを練ります。建設業界は手先が器用であったり、困難を工夫で乗り切る人が多いので、全社を巻き込んで考えます。

③アイデアの実現を可能にする企業や人材を探す

アイデアは出たが、ITが苦手で、ということも多いと思います。その場合、「餅は餅屋に」という考えで、それらを得意とする企業や人材をリサーチします。

④選定した企業とタイアップもしくは人材を迎えて社内ベンチャーを立ち上げる

自社の企画について理解が得られれば、その企業とタイアップする、もしくは人材を取締役として迎え社内ベンチャーを立ち上げて、具体的な開発計画を立てることも可能です。

ベンチャーキャピタルから資金調達するまでのプロセス

基本、この4つのプロセスを経ることでベンチャーキャピタルにPRするための土台は完成します。その後は企画内容の修正や肉付けなど、具現化に向けた細かな部分を詰めていくことになるでしょう。

そしていよいよ、ベンチャーキャピタルや投資家に自社のビジネスプランを提示します。国や自治体などが、そのようなベンチャー企業に対する支援として、プランを発表するイベントなどを開催しているので利用するのもよいでしょう。

ミラサポミラサポ|ビジネスプランコンテスト|https://www.mirasapo.jp/starting/information/bizcon.html

ビジネスアイデアについて、アイデアを実現する方法について、資金について、相談できる機関もありますので、駆け込んでみるのも一つの手です。

参考:中小企業庁|FAQ「創業・ベンチャーについて」|https://www.chusho.meti.go.jp/faq/faq/faq04_sogyo.htm

もちろん、決して平坦な道ではありませんが、建設テックに対する建設業界全体のニーズは計り知れず、また市場が未熟なためチャンスに溢れています。建設テックの開発は、その独特さゆえに建設業に従事するものにしか開発できないといっても過言ではありません。新しい時代が幕を開けた今、チャレンジしてみる価値は十分にあるでしょう。

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