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2025年が患者数のピーク~建設業界の職業病「中皮腫」への治療、労災、救済給付など対策のまとめ

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目次(この記事の内容)

  1. そもそも中皮腫とは
    1. 中皮腫の定義
    2. 症状
    3. 特徴
    4. 建設業との関わり
    5. 石綿を使った製品
    6. アスベストとは
  2. あなたは大丈夫? 中皮腫の予兆と検査について
    1. 中皮腫の初期症状
    2. 健康診断でわかるのか?
    3. 中皮腫の検査内容
    4. 中皮腫を診断、治療してくれる病院
    5. 中皮腫の治療内容
  3. 労災や補償はどうなるのか?
    1. 中皮腫が判明した場合、労災はどこに請求するのか?
    2. 転職が多い場合は?
    3. フリーの場合は?
    4. 国などの給付制度
    5. 相談センター
  4. 今からでも気をつけたいアスベスト対策
    1. アスベスト対策とは?
    2. 対策グッズ
  5. 終わりに

昼間は建設会社で健康診断の担当をしている私ですが、先日、健康診断を受けに行った職人さんが、帰社するであろう時間を過ぎても帰ってきませんでした。心配していると、「健康診断が途中で中止になって、総合病院への紹介状をもらったから今日は休む」と連絡が入りました。その後、色々な検査を受けた結果「中皮腫」と診断がくだされました。これまで一緒に変わらず元気に働いていたスタッフなだけに、とても心配になりました。

「中皮腫」は建設現場の石綿に含まれるアスベストが原因とされる、がんの一種です。建設業界の職業病とも言われています。石綿を吹き付けた現場や石綿を含んだ建材の解体工事などに入ったことのある方は心配だと思います。そこで今回の記事では、今後も患者さんの増加が予測される「中皮腫」について解説したいと思います。




そもそも中皮腫とは

中皮種という病名を初めて聞く方もいると思います。建設会社の健康診断担当としてはアンテナを張っている注目の病気です。なぜ、アンテナをはっているのか?基本的な中皮腫の症状や特徴、建設業との関係についてご紹介します。

中皮腫の定義

中皮腫とは、胸膜や腹膜などを覆う中皮という薄い膜にできる腫瘍(しゅよう)です。良性と悪性があり、悪性の場合は、がんです。中皮腫と診断された人の約9割が胸膜中皮腫です。

症状

中皮腫の症状は良性と悪性で変わります。

良性:
特に症状はなく他の臓器にも転移しません。外科的手術で治ることもあります。

悪性:
胸や腹に水が溜まり、胸痛、咳、呼吸困難、腹部膨満感などを感じます。末期には骨や脳に転移し、痛みや神経症状をおこすこともあります。

※参考サイト

もっと知ってほしいがんと生活のこと「石綿が原因の病気、中皮腫等に対する社会保障制度」
http://www.cancernet.jp/seikatsu/medical/asbestos/

Medical Note「悪性胸膜中皮腫の症状・検査・治療ー胸痛や呼吸困難や末期症状について」
https://medicalnote.jp/contents/160713-008-XK

特徴

石綿に含まれるアスベストが原因と考えられています。潜伏期間が長いのが特徴で、20年~50年経過して病気を発症します。発症する仕組みは解明されておらず不明です。

建設業との関わり

石綿は建築工事において保温断熱・防火・防音の目的で使われていました。1955年ごろから使われ始め、1960年代の高度成長期に多く使われましたが、1975年に原則使用が禁止されました。しかし、その後も、一部の建材の材料として使われ続け、20123月に完全に製造・使用が禁止されました。

石綿を使った製品


(引用元:独立行政法人環境再生保全機構「アスベスト(石綿)とは?」|https://www.erca.go.jp/asbestos/what/whats/basyo.html )

アスベストとは

アスベストは石綿を髪の毛の5,000分の1という細い繊維の形にしたものです。断熱・防火・防音・保温の効果が高く、高層ビルなどの見えない部分に吹き付けされていました。また、アスベストを含む建材もあり、使用が禁止されている今も、解体工事などで接する可能性があります。

【アスベストを吹き付けた実例写真】

(引用元:独立行政法人環境再生保全機構「アスベスト(石綿)とは?」|https://www.erca.go.jp/asbestos/what/whats/basyo.html )

あなたは大丈夫? 中皮腫の予兆と検査について

ここまでの話で、建設業界に身を置く方の多くは「アスベストに接したことがある」と不安を感じているのではないでしょうか。アスベストを吸い込んだからといって、すべての人が中皮腫になるわけではありませんが、確実に患者数は増えていて、今後も増加するといわれています。2018年4月に名古屋大学が発表したプレスリリースでは、潜伏期間の長さから、日本における中皮腫の患者数は2025年にピークを迎えると予測されています。


参考:厚生労働省「都道府県(21大都市再掲)別にみた中皮腫による死亡数の年次推移(平成7年~29年)」の全国計数値データをもとにしたグラフ|https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/tokusyu/chuuhisyu17/index.html 

参考プレスリリース:名古屋大学「悪性中皮腫の新たな治療法に期待」|https://www.med.nagoya-u.ac.jp/medical_J/research/pdf/Oncotarget_20180424.pdf

中皮腫の初期症状

多くの人がかかる胸膜中皮腫では、初期症状として息切れがみられます。病気が進行すると、胸痛や体重減少といった症状が現れます。

健康診断でわかるのか?

中皮腫は早期発見が難しい病気です。ただ、中皮腫と診断されないまでも、健康診断の胸部レントゲンで肺に水が溜まっていることがわかる場合があります。その場合は詳しい検査を勧められます。

国は過去に石綿の吹き付け作業や、石綿が吹き付けられた建築物の解体作業に従事した人に対して、無料で定期的に健康診断を受けられる「石綿に関する健康管理手帳」を発行しています。健康管理手帳は、住所地の労働局で申請できますから、該当する方は労働局に相談してみてください。

こちらのサイトからお近くの労働局の連絡先を探せます。
https://www.mhlw.go.jp/kouseiroudoushou/shozaiannai/roudoukyoku/index.html

引用元:環境省「私は、アスベストを使用するところで働いていたが?」|http://www.env.go.jp/air/asbestos/index3.html

中皮腫の検査内容

中皮腫の検査では胸水検査やCT画像の判定、PET検査(ペットけんさ:がんの検査方法のひとつ)を行います。最終的には、胸腔鏡というカメラや通常の手術で細胞を採取して、がん細胞を検査する病理組織検査をします。


(引用元:がん免疫.jp「悪性胸膜中皮腫の検査と診断」|http://www.immunooncology.jp/patient/mesothelioma/ch02.html )

中皮腫を診断、治療してくれる病院

中皮腫は検査をしても、悪性中皮腫と特定することが難しく、がんセンターや医療センターのほか赤十字病院など設備の整った大きな病院でしか診断や治療することができません。対象となる医療機関は全国で372病院と少ないのが現状です。

こちらのサイトから、お近くの中皮腫が治療できる病院を検索することができます。
https://hospdb.ganjoho.jp/kyotendb.nsf/xpKyotenSearchCancer.xsp


中皮腫の治療内容

もし中皮腫と診断されてしまった場合、治療内容は手術、放射線、化学療法の3つが基本です。

1)手術:胸膜や肺の全摘手術もしくは胸膜切除・肺剥離手術の2種類があります。手術後は、酸素の補給が必要になることが多いです。手術後も息切れ、食欲低下や体重減少などの症状がでます。

2)放射線:放射線を用いて、がん細胞を殺すかまたは成長させない治療です。中皮腫は広い範囲にがんがあることが多く、応急処置的・緩和的な治療手段として用いられます。

3)化学療法:抗がん剤治療で、現在は保険適用されるものが少なく、保険適用の拡大も課題です。千葉大学と岡山大学が遺伝子治療の研究を始めています。

(参考サイト:Medical Note「悪性胸膜中皮腫の症状・検査・治療ー胸痛や呼吸困難や末期症状について」|https://medicalnote.jp/contents/160713-008-XK )

中皮腫は発見された時には病状が進行していることが多く、治療しながら仕事を続けることは難しいと思われます。

今回、健康診断で発覚した方も治療に専念するよう医師から指示があったそうです。以前にも、中皮腫の方がいましたが、皆さん仕事と続けるのは難しかったと記憶しています。

労災や補償はどうなるのか?

中皮腫は労災です。そのため労災申請をして補償を受けることができます。しかし、潜伏期間が長いことから、判明した時に、勤めていた会社がないこともあります。そもそも、一人親方や職人は複数の現場に入るため、どこの現場でアスベスト被害にあったか特定できません。そういった場合の対応をご説明します。

中皮腫が判明した場合、労災はどこに請求するのか?

中皮腫の労災は、判明した時に勤めていた会社の労災を使います。昔は現場監督だったけど、今は設計をやっているという人も、会社の労災扱いとなります。

転職が多い場合は?

転職が多い人は、いつ原因となるアスベストに接触したか特定が困難です。その場合でも、判明した時点で勤めている会社が労災申請することになっています。ただ、会社側が前の会社の仕事が原因だと主張するなどトラブルも耳にします。労働基準監督署に相談すれば、会社へ連絡をしてくれますから、困ったら迷わず相談しましょう。

フリーの場合は?

フリーや一人親方の場合は特別加入している団体を通すことになります。ネットで申込をしているなど相談しにくい場合は、近くの労働基準監督署や労働局でも対応してくれますから、相談してみてください。

国などの給付制度

中皮腫の労災の説明をしてきましたが、労災保険に未加入の方にも救済給付はあります。仕事で石綿に接触したことのない人でも救済の対象です。遺族給付もあり、遺族でも申請することができます。


(引用元:厚生労働省「石綿健康被害救済制度、労災補償制度のご案内」|https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/rousai/dl/120406-1_leaflet.pdf  )

相談センター

国は「石綿(アスベスト)救済相談ダイヤル」を設けて救済に取り組んでいます。

【相談先】
独立行政法人 環境再生保全機構
無料相談ダイヤル:0120-389-931 

今からでも気をつけたいアスベスト対策

アスベストが使用禁止になったとはいえ、今も、増改築や解体作業でアスベストを扱う可能性があります。そんな時の対策についてご紹介します。

アスベスト対策とは?

解体や改修工事のアスベスト対策は、作業に携わる人の健康障害と大気汚染防止のため、アスベスト繊維が空気中に飛散しないよう、散水や薬剤の散布をしながら手作業で行います。

既にご存知かとは思いますが、環境省と厚生労働省からマニュアルがでていますので、改めて見てみましょう。

〇環境省「建築物の解体等に係る石綿飛散防止対策マニュアル2014.6」|http://www.env.go.jp/air/asbestos/litter_ctrl/manual_td_1403/full.pdf 

〇厚生労働省「石綿飛散漏洩防止対策徹底マニュアル」|https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11201000-Roudoukijunkyoku-Soumuka/0000022625_1.pdf

対策グッズ

アスベストの除去は手作業のため、化学防護服や防塵マスク・手袋などを用いて作業します。アスベストの作業を行う際の対策グッズをご紹介します。

 

・株式会社重松製作所(東京都北区/TEL.03-6903-7525
石綿障害の予防用保護具メーカーです。防護服からマスク・手袋まで一式を製造販売しています。


(引用:http://www.sts-japan.com/products/topics/pdf/asbest.pdf ) 

 

・スリーエムヘルスケア株式会社(カスタマーコールセンター/TEL.0570-011-321
防塵マスクを販売しています。鼻やあごにフィットするデザインで、高いフィット性を実現しています。


(引用:https://www.mmm.co.jp/ohesd/affected_areas/pdf/asbestos_catalog.pdf )

 

また、自社で対応が難しい場合は、アスベスト対策を専門とする会社に依頼するのもひとつです。

・大光株式会社(東京都足立区/TEL.03-3888-7701
調査や除去工事・解体などトータルでアスベスト対策を行う会社です。


(引用:http://www.daikou-as.jp/p04_picture/ )

中皮腫は恐ろしい病気ですので、少しでもアスベスト飛散の恐れがある現場では、しっかりケアすることが重要です。

終わりに

建設業界で働く多くの方は石綿を使った現場に入ってことがあると思います。石綿の吹き付け作業をしていたなど心当たりがあれば、石綿健康管理手帳を申請して定期的に健康診断を受けることをお勧めします。

また、アスベストが原因の中皮腫が労災の対象だと知らない方も多いのではないでしょうか。潜伏期間が長く、発症した時に建設業界に身をおいていないこともあるかもしれませんが、これまでご紹介してきましたように救済措置制度もありますから、まずは専用ダイヤルに相談してみてください。

(独立行政法人 環境再生保全機構/無料相談ダイヤル:0120-389-931

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