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「新・担い手三法」の成立で登場した新資格「技士補」、施工管理技士の検定制度の変更とは?

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2019年6月、参議院選挙前の国会で建設業界の担い手の中長期的な育成・確保の理念や具体的措置をアップデートした法律がひっそりと可決しました。まず5日には、改正「建設業法」と改正「公共工事入札契約適正化法」(以下、入契法)、続いて7日には、改正「公共工事品質確保促進法」(以下、品確法)が参議院本会議で成立しました。この建設業に関わる三法を総称して、「新・担い手三法」と呼びます。

「新・担い手三法」は、建設業界にとって大きなインパクトのある法律改正といえます。土木・建築の施工管理技士試験の在り方も変わり、施工管理技士を目指そうという方にとっても大きな影響があります。では早速、その詳しい内容を見ていきましょう。

「新・担い手三法」が改正されたワケ

まず、「新・担い手三法」が成立した経緯について説明します。

2014年に品確法・建設業法・入契法を一体改正し、建設会社や下請け企業が適正な利潤を確保できるよう予定価格を適正に設定することや、ダンピング対策を徹底することなど、建設業の担い手の中長期的な育成・確保のための基本理念や具体的措置を規定しました。

この法律が通称「担い手三法」と呼ばれます。「担い手三法」後の5年間にわたり、予定価格の適正な設定、歩切りの根絶、価格のダンピング対策の強化、建設業の就業者数減少に歯止めなどの成果もあり、建設業界から一定の評価を受けました。

しかし、相次ぐ大規模な自然災害を受けての「地域の守り手」としての建設業への期待、働き方改革促進による建設業の長時間労働の是正、i-Constructionの推進等の生産性の向上など、さらに取り組むべき課題もあることから、新たに「新・担い手三法」が成立したのです。

新・担い手三法(引用:国土交通省「品確法・建設業法・入契法等の改正について」|http://www.mlit.go.jp/common/001050129.pdf

「新・担い手三法」は、ゼネコンや専門工事業者であれば、その内容について知っておくべき点がたくさんあります。なぜならこの改正により、これから現場の働き方、生産性向上、持続可能な事業環境の確保など、建設業界自体が大きく変わる可能性があるためです。

たとえば「働き方改革」では、工期の適正化・平準化の促進についての基準を国が設定します。「建設現場の生産性向上」では、監理技術者の専任緩和、技術検定制度の見直し、主任技術者の配置業務の見直しなどを推進します。「持続可能な事業環境の確保」では、建設業の許可基準を見直すほか、事業継承規定の整備などを進めます。

より具体的に一例を説明しますと、建設業界は経営者の高齢化により、「どのようにして事業承継していくか?」が課題となっているのは周知のことと思います。それが今回の法改正により、会社とともに「建設業の許可」もあわせて承継することも容易になります。そのため、建設業界はM&Aがより活発になると予測されているのです。これは事業規模の拡大や新規事業への進出を狙う企業にとって、注目すべきポイントといえます。

今後、「新・担い手三法」に基づき、国土交通省等から省令、政令、通知などが次々と発出される予定です。今はまだ輪郭だけですが、具体的なことはこれから決まっていきます。そこでこの記事では、影響の大きい「技術検定制度の見直し」(建設業法27条)について、執筆時点で明らかになっている部分を解説したいと思います。

筆記試験

施工管理技士の技術検定制度が変わる!?

国土交通省は、建設工事に従事する技術者の技術向上を目的として、建設業法第27条の規定に基づいて技術検定を行っています。技術検定試験に合格すると「技士」資格が与えられる仕組みです。

近年、国土交通省はその施工管理技士の技術検定制度の見直しを行っています。施工管理技士の技術レベルを下落させることなく、より多くの施工管理技士を輩出させることが狙いですが、それは建設工事現場の人手不足と大いに関連しています。最近では、建設機械・土木・建築・電気工事・管工事・造園の6種類に加えて、「電気通信工事施工管理技士」を創設したことは大きなトピックスです。

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それでは建設業法27条改正によって、技術検定はどのように見直しされるのでしょうか?

現在は1級・2級ともに学科試験を受け、合格後実地試験を受け、両方ともに合格すれば正式に1級技士・2級技士の称号が与えられています。
それが今回の法改正により、監理技術者を補佐する役職で「技士補」の資格を創設することになりました。いわば、「学科は合格したけど実地で不合格だった」という人への救済・緩和措置という見方もできるかもしれません。しかしこれにより、監理技術者を補佐できる有資格者は確実に増えます。

技士補導入後のイメージ

(引用:国土交通省「技術検定制度の⾒直しについて」|https://www.mlit.go.jp/common/001149833.pdf )

これによる影響を、具体的な現場を例にあげてみましょう。
たとえば、これまで建設工事の請負代金の額が3,500万円(建築一式工事にあっては7,000万円)以上である場合、「監理技術者は現場で専任の者でなければならない」と義務付けられています。これは隣接する現場であっても、別途監理技術者を専任で配置する必要がありました。

しかし「1級技士補」を配置することにより、監理技術者は別の現場に兼務することが可能になります(国土交通省は兼務について、安全性や技術力を落とさないよう2現場と考えています。これは後ほど政令で決められる予定です)。つまり現状の人手不足の中、資格を取得しやすくなったことで、請け負える現場数を維持・増加できることになります。

 

新設される「技士補」(監理技術者)とは?

監理技術者とは、現場の技術水準を確保すべく配置される技術者のことを指します。現場で重要な役割を担います。

監理技術者の職務は、施工計画の作成、工程管理、品質管理その他の技術上の管理及び工事の施工に従事する者の指導監督です。 監理技術者は、下請負人を適切に指導、監督するという総合的な役割を担うため、主任技術者に比べ、より厳しい資格や経験が求められます。 (引用:一般財団法人 建設業技術者センター|https://www.cezaidan.or.jp/managing/about/index.html )

 

資格要件としては、一級建築士、1級建設機械施工技士、1級建築施工管理技士、1級土木施工管理技士、1級電気工事施工管理技士、1級管工事施工管理技士、1級造園施工管理技士などの国家資格が必要です。日本の建設現場はこの監理技術者によって支えられていると言っても良いでしょう。

改正後の試験内容は、1級・2級とも、施工技術のうち、基礎となる知識・能力があるかを判定する「第一次検定」に合格すれば、「技士補」の資格が与えられます。次に施工技術のうち実務経験に基づいた技術管理や指導監督に係る知識や能力があるかを判定する「第二次検定」に合格すれば1級・2級技士が付与されます。

監理技術者資格者証(引用:同上)

国土交通省の担当者は、技士補について「若い方に積極的に取得して欲しい。詳細な受験要件についてはこれから政令・省令で称号などを決めていきたい。2級技士補は工業高校在学中に受験し、取得することは可能です。資格も取得した後に、建設業界に入職していただければ望ましいです」とコメントしています。
この早期資格取得を促しているのには、理由があります。若年層に対する「他業種への就職の流れの抑制」「建設業界へ在職する動機付け」といった狙いがあるためです。

早ければ2年後にも、工業高校生の2級技士補が誕生する可能性もあります。さらにその翌年には、現場で活躍する光景も見られるかもしれません。

その関係もあり、国土交通省は法改正にあわせて、さらなる技術検定制度の再編も検討しています。現在、2級第二次検定合格者は、1級第一次検定を受験するにあたり、1級相当の実務経験を不要とすることを考えていると言われています。

とはいえ施工管理技士の不足は深刻で、仁義なき引き抜きも横行しています。これからゼネコンも、若い技術者の中で技士補の資格を取得している方にも注目するでしょう。監理技術者の兼任が認められたことで受注の機会は増えますから、会社として1級技士補の養成に力を注ぐ流れも確実でしょう。

技士補の養成

今後は技士補への指導が重要に

建設業界は、年齢階層別の建設技能者の労働者階層を見ますと、60歳以上の高齢者が82.8万人(25.2%)と多く、10年後には大量離職が見込まれます。一方、それを補うべく若手入職者は29歳以下の人員は36.5万人でわずか11.1%に過ぎません。氷河期時代に建設業界は人材採用をためらった経緯もあり、中堅社員が減少しています。このままでは建設業界の生産性を維持することは大変困難です。

そのため、現場指導者と指導を受ける若手は親子ほどの差があり、現場では「どうやって指導したらよいかわからない…」との本音も聞かれます。

一方、若手からは「指導らしい指導も受けていない」との声もあります。工業高校新卒の3年以内の建設業界における離職率は3割~4割ですが、離職率の高い理由は、給与が低いこともありますが、指導についての不満や将来のキャリアパスが見えない不安もあります。

これから法改正により、監理技術者は2現場を兼務することにより、2人の技士補を指導する局面があります。若手への丁寧な指導により、離職も防止可能です。建設会社は監理技術者に対して、若手への技術の伝承という点に大きな期待を寄せています。

監理技術者は自分の仕事だけやればよいという時代ではありません。
これからは担い手を確保することに注目が集まっていましたが、定着させることも大事です。その定着の部分について監理技術者は大きな役割を担うことになります。

このように、今回の「新・担い手三法」により、技士補の創設や受験制度の変更など、特に施工管理を請け負う会社にとっては大きな変更となります。今後も引き続き、関連する省令、政令、通知などの発出に注目しましょう。

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