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中小企業のAI活用事例!利益10倍を実現した「ゑびや大食堂」に学ぶデータを活かすという意識

CAREECON
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目次(この記事の内容)

  1. 最初はエクセルの表にデータを入力していました
  2. BIツールで数字をビジュアル化
  3. AIによる画像解析システムを導入
  4. 独自の来店予測AIを開発
  5. 売上は4倍、利益は10倍に!
  6. まとめ

2018年2月7日~8日、東京・お茶の水で、AI(人工知能)イベント「CNET Japan Live 2018」が開催されました。AIを導入しませんかというビジネスショーです。

建設業界向けにドローンで建物を撮影し、ひび割れや塗装剥げを画像認識で識別するデモがあったり、コミュニケーションロボットが歌を歌っていたりという光景が広がっていました。

そんな会場で目を引いたのが、「有限会社ゑびや」のブース。この会社は、2000年の歴史を持つ伊勢神宮(三重県伊勢市)の鳥居近くで「ゑびや大食堂」と「ゑびや商店」を経営する会社です。

正社員数13人、アルバイト・パートさんを含めても40人程度という中小企業ですが、自社のビジネスを効率化するためにICT化を進め、AIを開発して翌日の来店者予測まで行なうようになり、そのシステムを近く売り出そうかというところまで進んだそうです。

対応してくださった、新規事業開発 プロジェクトマネージャーの堤庸輔さんのお話がたいへん興味深く、情報システム部門がないような中小企業でも参考になりそうなので、今回はゑびやの事例に絞ってご紹介します。




最初はエクセルの表にデータを入力していました

出典:伊勢ゑびや大食堂・ゑびや商店

ゑびやのICT化は、「経営の見える化」からスタートしたそうです。

「創業100年の老舗和食店で、もちろん最初からICT化していたわけではなく、経営判断が当然のように経験と勘で行なわれていました。そこに疑問を持った代表(代表取締役・小田島春樹氏)が経営を数字で見えるようにしようと言い出したのが始まりです」(堤氏、以下同)

最初は、データを根拠にして来店人数を予測し、食材の仕入れやスタッフの人数などを決めたいと考えたそうです。

「当時は自分たちでデータを集めて、エクセルに入力していましたね。スマレジ(タブレットPOSシステム)の売上データ、食べログの自店ページへのアクセス数、Googleアナリティクスのアクセス情報など、毎日125項目を集めていました」

そのときに問題になったのが、社内のITリテラシーでした。

「私はもともとPCのサポートをしていたので、パソコンや機械に抵抗はなかったですが、システムやAIに詳しいわけではありませんでした。ただ、スタッフは『エクセルって何ですか?』『文字の大きさってどうすれば変わるんですか?』という状態で…」

堤さんがデータを集めると1日15分のところ、別のスタッフに頼むと1時間ぐらいかかったりしていたそうです。そこで、Webサイトの改修などで付き合いのあったシステム会社に頼んで、スクレイピングのプログラミングを依頼しました。

スクレイピングとは、Webサイトなどから、必要なデータを自動的に抜き出して、所定の場所に入力すること。このプログラムによって、データ収集の時間が3分に短縮されたそうです。

BIツールで数字をビジュアル化

データが集まると、今度はグラフや図などでの見える化に着手します。これには「BIツール」のサービスが活用されました。

BIツールとは、「Business Intelligence」の略で、データを分析・加工・視覚化するためのツールです。ビッグデータ時代にあって、導入する企業が増えています。

ゑびやでは、エクセルとの相性の良さなどから、マイクロソフトの「Power BI」というツールを導入しました。

見やすいように、「来客予想」「食堂客層」などテーマごとにタブに分け、スタッフでもパッと見てわかりやすいように画面デザインされています。

▲ゑびやが実際に使っているBIツールの表示画面。時間別来店者数や滞在時間などが一目でわかる

AIによる画像解析システムを導入

続いて、AIを使ったサービスを導入することになりました。東京で開催されたIT系の展示会で出会った、店内カメラの映像から顧客の属性や感情を解析するシステムです。

「それまで店では、来店者の数は取っていましたが、どんな人が来店しているのかというプロフィールまでは収集していませんでした。しかし、性別や年齢、グループの人数などがわかれば、経営判断に活かせるなと思っていたんです」

出典:アロバビューコーロ

そうして導入したのが、「アロバビューコーロ」というシステムです。カメラからの画像をAIが画像認識して性別・年齢を高精度で判定でき、初来店かどうか、その時の感情といったことまで検知できるそうです。店の前にカメラを設置すれば、通行者とそのうち何人が来店し、それはどんな人かというデータも収集可能です。

独自の来店予測AIを開発

データが集まったら、次は活用です。ゑびやでは、上で紹介したデータ以外にも、過去の売上データ、天気予報(最高・最低気温、降水量)、近隣の宿泊客数など、400種類ものデータから、何を使えば来店客数が一番正確に予測できるのかを洗い出し、試行錯誤したそうです。

そしてついに、ビッグデータ解析やAI開発を行う会社に依頼し、「来店予測AI」を開発してしまいます。

「来店者予測が正確にできれば、仕入れや適正なスタッフ配置などが可能になりますので、分析も重回帰分析など4種類行なうなど、力を入れて研究しました」

その甲斐あって、翌日の来客数・注文数は的中率9割という高い精度で予測できるようになったそうです。

売上は4倍、利益は10倍に!

このシステムによって、料理の提供時間短縮や、仕入れ精度の向上による廃棄コスト低減が実現し、業績も大きくアップしたそうです。

「結局、5年ほど前から従業員数は変わらないのに、売上は4倍、利益率は10倍にもなっています」

引用:CNET japan ▲ゑびやが構築してきたシステム(一部構想中、実験中のものも含む)

現在も1時間ごとの来店者数予測の精度を上げるなど、改善を続けているゑびや。今度は、「このシステムを困っている他の会社でも使ってみてほしい」とパッケージにして提供するところまで話が発展しています。

「今、ぜひ導入したいとお話があった企業様で実証実験中です。今年の夏にはローンチしたいと考えています。画像解析と来店予測AIで月2万円程度など、街の小さなお店でも使ってもらえる形にしたいと現在準備中です」

少ない負担で来店者予測ができれば、大きな力になります。提供開始が楽しみです。

まとめ

「自社開発のAIソリューションを提供」という結論を聞くとハードルが高いですが、最初はエクセルの表の項目を埋めるところから始まっています。以来、今まで5年程度だそうです。

ICT化に着手し、情報収集を心掛け、自分たちが何を求めているのかを明確にし、そのために最適なサービスが外部にあれば利用し、ない場合は自社で開発する、という段階を踏めば、5年でエクセルからAIへとステップアップしていくことができるということです。

決意して始めれば、人や情報が集まり、知らない間に繋がってきます。今はローコストで導入できるツールも数多く登場しています。ちょうどAIも導入しやすくなってきています。

まずはデータを溜めるという意識をもって、ICT化に取り組んでみてはいかがでしょうか。

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