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【実技編】仕事でドローンを操縦するために知っておくべきこと。i-Construction対応ドローンスクール体験記

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前回の【座学編】では、ドローンの活用法や関連法規、安全対策などを紹介しました。


※参考記事:

座学編へのリンク


今回は【実技編】。実際にドローンを操縦します。会場は座学の神田(現在は横浜)とは打って変わって、千葉県君津市の山中。東京ドーム3個分、14万平米という首都圏最大級の提携ドローン飛行場で2日間の実技講習です。今回も国土交通省認定のドローンスクール「D-ACADEMY(ディー・アカデミー)関東本部」の依田健一代表にお世話になりました。

ドローン専用飛行場▲千葉県君津市にあるドローン専用飛行場。一般公開はしておらず、「D-ACADEMY」のスクールや、企業の実証実験などの際にのみ使われています。畑や法面があり将来的にはソーラーパネルやボックスカルバートなどの構造物設置する予定だとか

ドローンの操作はプロポの使い方から


実技講習のカリキュラムはこんな構成です。

1)点検・整備
2)飛行訓練、GPSなしのマニュアルモードを含む
3)危機回避訓練
4)自動航行実習(測量用)
5)データ解析方法
6)実技試験


最初は機械の点検方法から。プロペラがロックされてるかなど十数か所をチェックします。

そして、操縦方法。今回の講習では業務でも使えるベーシック機、DJI「Phantom(ファントム)4 pro」がメインで使われました。プロポ(操縦機)にタブレットやスマートフォンを付け、地図を見たり、ドローンから送られてくる映像を見たりしながら操縦していきます。

DJI「Phantom(ファントム)4 pro」▲DJI「Phantom(ファントム)4 pro」


ドローンのプロポには2本のスティックがあり、これで機体の動作を制御するのですが、使い方(モード)が2種類あります。

・モード1  右が「上下・左右」、左が「前後・左右回転」を操作


・モード2  右が「前後・左右」、左が「上下・左右回転」を操作

モード1が日本で昔から採用されてた方式、農薬散布などにはモード1のみです。モード2は世界的にはスタンダードで、右手で2次元、左手で3次元を操作するのでわかりやすいモードです。選ぶ必要が出てきたら、上のような用途でなければ、モード2が直感的にわかりやすく右手だけで操作が可能なので迷ったらモード2にしておくといいでしょう。

いざ飛行! GPSは偉大です


以前、「i-Construction」を推進するコマツのIoTセンターを取材した際、「測量や設備点検など業務でドローンを使う際には、基本的には自動航行アプリを使います」と聞きましたが、スクールでは自分での操縦がほとんどで、GPSに頼らないマニュアル操縦(ATTIモード)もみっちりやります。

依田代表▲「ウチの学校は卒業したらきちんと仕事で使えるようになってほしいので、かなり厳しいと思います」と依田代表


「GPSの電波が届きにくい場所がありますし、GPSが切れる場合もあります。ドローンは性能が上がっているとはいえ機械なので、自動航行が何かの不具合で航路から逸脱しまうこともゼロとは言えません」(依田代表)。実際、同行の業務で頻繁にドローン使っている方が、「一度GPSが切れて、機体が流されてしまったことがあったんですが、かなり焦りました。GPSは切れた理由がわからないので、本当に困ります」とおっしゃっていました。1km……。

ということで実際に飛ばしてみると、GPSが効いていても結構風に流されるのに驚きます。スティックから手を離せば、機体が自動的にホバリング(空調静止)して留まってくれるのですが、操作しようとすると、この日は風が弱かったのに、うまく操作できません。

そこで、GPSを切ってマニュアルモード(ATTI)にすると、比較にならないほど流されていきます。風に流されて高速で自分に近づいてきたことも! かなり怖かったです。慣れないと回避方法がとっさに出てこないんですね。いや、GPSは偉大です。

ただ、「ビルの間、谷間、建物の裏、木の陰などでGPSが切れやすいので、注意してください」(依田代表)

ドローン操縦時の注意点


ドローン操縦時の注意点は、GPSが切れることだけではありません。真っ直ぐ降下する場合などに、吹き下ろした空気がプロペラに吸い込まれるボルテックス・リング(=セットリング・ウィズ・パワー)が発生して、操縦不能になることがあるそうです。これを避けるためには、真っ直ぐ降下せず、斜めやジグザグに動いて降りるといいのだとか。

「コンパスが狂ってしまうこともありますね。そうなると舵に対する機体の方向がおかしくなりますので、自動運転の場合はコースから逸脱します。すぐにマニュアルに切り替えて舵をチェックしながら

戻すか安全な場に墜落させます。特に雷や高圧線・無線電波などでは何が起こるかわかりませんので、注意が必要です」(依田代表)

飛行ではありませんが、バッテリーの取り扱いも注意が必要だとか。ドローンで一般的に使われているリチウムポリマーバッテリーはパワーが大きいだけあって、過充電などで爆発することさえあるそうです。「火が出ても大丈夫な場所で充電し、充電しっぱなしで放っておかないようにしてください。低温だと急激な電圧降下などが起こって危険な場合もありますので、気温の低い屋外などでバッテリーが冷えてしまったら、冷たいと感じないぐらいまで体温やカイロなどで暖めてください」(依田代表)。その他、機体の構造や通信についてなど、知っておきたいことは数多くありました。

仕事で使うには複雑な操縦が欠かせない

ドローン実技テストの練習中▲実技テストの練習中。かなり風の影響を受けて流されます


ドローンを飛ばしている動画などを見ていると、楽しそうに伸び伸びと飛ばしているシーンが多いと思います。ただ、この講習では、目印となるコーンや範囲を指定するリングを付けて、

・GPSを切ってホバリング → とても難しい。風であちこちに飛ばされそうになる


・そのままGPSなしで遠方に不時着 → 難しい。距離感がつかめない


・視点を斜めにしてGPS有り無しで前後移動 → 慣れるまで難しい


・機首を12時の方向や進行方向に向けて8の字飛行 → 回転の大きさ感覚を掴むのが難しい

など、様々な条件付きで操縦していきます。「伸び伸び」的な雰囲気はありません。というのも、実際に仕事で飛ばす際には、検査のためにGPSが入りにくい建物の側で静止し続けるとか、空撮で対象となる車にカメラを向けたまま追い続ける、といった無茶振りのようなシチュエーションが普通に出てきます。

飛ばしている途中でGPSを切る、という難易度の高い練習もしますが、それをしておかないと、急にGPSが切れた場合に対応できない、ということですね。実技テストはそういった11の設定をクリアして合格となります。

様々なドローンを飛ばせたのが大きな収穫


実技テストが終わると、依田代表が所有している「Phantom 4pro」以外の機体を飛ばすこともできました。小型機体の代表が、DJI「Mavic(マビック)」シリーズのAirとPro。手のひらサイズで軽量ですが、4Kカメラを搭載した高性能モデルで人気を集めています。動きがクイックで軽やか、小回りも利くので、狭い場所での飛行に向きます。

Mavic Pro、Mavic Air▲左が「Mavic Pro」、右が「Mavic Air」


それから大型業務用ドローンの代表、「DJI「Matrice(マトリス)600pro」もこのスクールは飛ばさせてらえるのです。これはよくある室内での飛行訓練スクールではありえない貴重な体験です。もちろん未経験者の私も試してみることができました。「産業用」という位置付けで、映画やCMの空撮ではスタンダードなモデルです。アームとプロペラを広げれば1.7m、重量も20kg近くあります。それだけあって安定性がありますね。スピードも速いし、重戦車のようなイメージです。

Matrice 600pro▲「Matrice 600pro」


複数の機種を実際のフィールドで試せる機会はそうそうないので、良い経験になりました。小型・中型(Phantom 4)、大型と感触がわかったので、どんな仕事やどんな場所にはどの機体が適しているかという選択の参考になりそうです。

自動航行による測量用撮影も


空撮や測量でよく使われる「自動航行」の実習もあります。ドローン測量を例に、測量する範囲や高度などを自動航行アプリに設定して、実際に飛行させます。

自動航行アプリ「DJI GS Pro」▲実習で使った自動航行アプリ「DJI GS Pro」。他には「Litchi(ライチ)」「Pix4D」などがよく使われているとか


飛行ボタンを押すと、自動で離陸して測量地点へと移動し、測量用のラップ撮影をして戻ってきて、離陸位置に着陸します。その間、画面に映る地図や画像(モードを変更可能)を見ているだけで、まったく操縦する必要はありません。というか、複雑なラップ撮影をコントロールするのは初心者には無理ですね。

ラップ撮影というのは、地上の同じ地点が複数の写真に写るよう、タテとヨコを重ね合わせ(ラップさせ)て撮影することです。i-Constructionのルールでは、タテのラップ(重なり)が80%、ヨコのラップが60%と決まっているので、ぴったりそうなるよう少しずつ機体を移動させてホバリングしながら撮影(ホバリング撮影モード)させていきます。

撮影する高度も厳密に決まっていて、地上の1cmが写真の1px(ピクセル)になるよう設定します。「カメラの解像度によって撮影高度は変わり、高解像度のカメラほど高度を上げて広い範囲を1度にカバーすることができます。撮影枚数が少なくて済むので効率的です」(依田代表)。ちなみにi-Constructionで使用する際には、測量精度を上げるため対空標識という目印を置いて撮影するそうです。

ドローン写真で測量するための手順


これは以前の記事でも紹介したので簡単に。ラップ撮影すると、下のように少しずつ位置のずれた画像がたくさんできあがります。

Agisoft PhotoScan

その写真をすべて選択し、「Agisoft PhotoScan」というアプリケーションで、オルソ画像と呼ばれる3D画像に合成し、X・Y・Zの位置情報とR・G・Bの色情報を持つ点群データを作成します。

オルソ画像

真上からの写真情報だけなので周辺部はゆがんでいますが、横からの写真を追加すれば建物も綺麗に立体化されます。「GS Pro」の有料版で可能です。

Agisoft PhotoScan測定

測量したい地点を選択すると、長さ、高さ、深さ、面積、体積が測定できます。穴を埋める際に必要な土砂の量なども測定できます。

こうして作成した点群データは、3D画像やCADデータに変換して、3次元データで管理することができます。そうすることで、土地や建物を「点と線」から「面」で把握でき、様々な活用が可能です。

ドローン撮影の点群活用事例▲D-ACADEMY配布資料より。他に定期断面観測、圃場の均平度確認などにも活用できます

自動空撮やVRグラスで施設点検も


自動空撮の実例もいろいろ見せてもらいました。たとえば、対象物の上を自動でぐるぐる回っ

たり

、高度を上下や半径を変化させた空撮もできます。テレビや動画サイトで見たことのある構図や動きのものも結構ありました。ボタン2~3個で本当に簡単にできます。車やバイク、動物など、動いているものを追いかけて撮影するのも簡単です。

それから、3D/VRゴーグルを使った施設点検の方法も試してくれました。ゴーグルとドローンが同調して頭を向けた方向にドローンが向きますので、実際に確認したい場所を見ることができ、屋根点検や高所の点検などに利用できます。さっそく私も試しましたが、写真のようにグラスを着けて、その映像をチェックしていると、本当に空中から施設を見ているような感覚です。目視しにくい建物の屋根などには使えると実感しました。

Urgod 3D VR ゴーグル▲数千円のゴーグル(写真は「Urgod 3D VR ゴーグル」(実勢価格・2500円程度)と有料アプリ「Litchi(ライチ)」(約2800円)で可能


という2日間の実技講習、山の天気は変わりやすく、快晴→雨→曇と変わっていったのですが、依田代表は的確に天気の変わりを予測してプログラムを柔軟に変えていきました。「あと2時間ぐらいで雨が来そうなので、先にこれを進めましょう」という具合。「ドローンは雨や風の影響を受けやすいので、意識せずに天気を気にしていますね」だとか。そんな依田代表が常用しているアプリは「アメミル(Amemil)」だそうです、参考までに。

まとめ|ドローンするなら一度はスクールへ


駆け足でほんの一部を紹介した「D-ACADEMY」の「i-Construction対応ドローンスクール」。4日間の講習で、座学と実技の試験に通れば、JUIDA(一般社団法人日本UAS産業振興協議会)の無人航空機操縦技能資格と無人航空機安全運行管理者資格が受け取れます。女性の場合は「ドローンこまち認定証」もあります。

現在、まだ首相官邸事件の件が後を引いているのか、特に首都圏などではドローンを持っていたり飛ばしていたりすると、警察にけっこう呼び止められたりするそうですので、しっかり勉強してから臨んだほうが安心です。

ドローンスクール修了証▲試験をパスするともらえる修了証(左)。女性にはさらにDアカデミー限定ドローンこまちⓇの認定証も(右)JUIDA発行の証明書▲JUIDA発行の証明書も取得可能(別料金)


ドローンを始める際、独学で始める人が多くと思います。しかし、ことビジネスで使う場合には、一度スクールへ行ってみて、様々な知識や人脈を得てから始めることをお勧めします。たとえば「D-ACADEMY」では、修了後も飛行訓練や専門セミナーなど継続して学ぶことができ、ドローン事業についての相談、人脈の紹介など、手厚いサポートがあります。安全・確実さが強く求められるビジネス利用では、こういった無形のサポートが大きな力になる場合があります。

【取材協力】D-アカデミー株式会社 Dアカデミー関東本部

http://d-academy.co.jp/

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